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ただ後悔するのは どうしてもっと前からその笑顔を見ようと思わなかったのかということ ただ幸せなのは 今この瞬間はその笑顔は オレに向けられたものだということ 6.夕暮れの中で 「じゃあ、行こーか。」 後片付けや色々と話をしていたら、すっかり時刻は15時すぎになっていた。 ちょっと準備してくる、といって自分の部屋に行き戻ってきたカカシさんは、 今までのラフな格好とは違って、いつもの右目しか出ていないカカシさんになった。 「どこに行くんですか?」 こうしてカカシと2人で木の葉を出歩くのは、 初めてこの里に来て、必要なものの買出しをして帰った時以来では少し浮かれていた。 「んーまぁ、着けばわかるよ。」 「はーい。」 はっきりと行き先を告げられなかったが、わくわくしていたためはどこでもきっとよかったに違いない。 「ここから、割と近いんだけど歩いて行くには時間がかかるんだよねー。」 カカシさんは少し言い出しにくそうにしていた。 「と、いいますと?」 「抱えて飛んでもイイ?」 ・・・マジですか。 初日に肩に乗っけられて酔っちゃったんだよなー私。 でも・・・せっかく連れてってくれるって言ってくれたのに、私に合わせてダメになるのもイヤだしなぁ。 よし!ワタクシ、いっちょ気合入れますか! 「カカシさん?あの、私かまいませんよ?」 「じゃあ、失礼しまーす。」 てっきりまた肩にかつがれるもんだとばっかり思って意気込んでいた私は、カカシさんがとった行動にびっくりした。 「え!?ちょ、ちょっと・・・ってわぁ!」 カカシはの肩に片方の腕を置き、ひざ裏に腕をさしこみひょいっと抱えあげた。 これって・・・・俗に言うお姫様だっこってやつですか!! ////初めてこんなことされた。 「あの、えっとカカシさん・・・私重いですから(汗」 「ぜーんぜん、こんなの重いうちにはいんないよ。ってか、もっと太った方がいいんじゃないのー?」 ひと1人抱えているとは思えないほど、カカシはいつも通りひょうひょうとしていた。 カ、カカシさんの顔が近い・・・/// ほとんど顔が見えないとはいえいつもよりうんと近いカカシの顔に恥ずかしくなったは、 胸の前でぎゅっと自分の手を握りしめて下を向いていた。 「サーン?まぁ、照れるのは判るけどさ。照れるついでに腕、オレの首に回してくれる?」 きっと、口布で隠されたカカシの口元は意地悪にニヤニヤしてるに違いない。 絶対そうだ!カカシさん、また私のことからかって楽しんでる〜 くそぅ、と思ったであったが振り落とされてはかなわない、と思ったのか大人しくカカシの首におずおずと回した。 「ま、すぐ着くから我慢してちょーだいよ。」 行くよ、と言ったかと思えば次の瞬間にはもう2人は飛んでいた。 あの時の揺れるかんじを、思い出したはカカシの鎖骨あたりに顔をうずめ、ぎゅっと目をつぶった。 ・・・しかし、いつになってもあの時のような振動はやってこない。 あれ?なんか今日は平気かも・・・? かすかに揺れるかんじはするが、明らかにこの前の時とは違う。 もしかして、カカシさんアタシが酔わないように気を使ってくれてるのかな? ケガしてるのに申し訳ないな。 あぁ、私ったらやっぱりカカシさんに迷惑ばっかりかけて・・・ 着いたらうんとお礼言おう。 一方でカカシはまったく別の事を考えていた。 あーそんなに怯えてないみたいでよかった。 初めて会ったときはオレ肩にかついじゃったもんなぁ。 そりゃ、誰だって酔うわ(どーん) 火影のもとにを連れて行ったときに、少し具合が悪そうにしていたのを思い出していた。 んーそれにしても・・・・ って、見た目はそんなにわかんないけどこうして抱きしめてみると結構華奢なんだなー。 あの時はただに押し殺してる感情を吐き出してほしくて必死だったから、堪能してる余裕なんてなかったもんねぇ。 ってか、そんなところに顔うずめて擦り寄られたら・・・・さすがにマズイでしょ。 木の葉の里では、男の間ではコピー忍者のカカシとして 女の間では、せまれば大抵は相手にしてくれる女たらしのカカシとして知らない者はいなかった。 ま、別によってくるから相手してただけなんだけどねー。というのが、カカシの会見らしい。 ただ、噂というのは広がる間に尾ひれのおまけに背びれまでもつくというのが世の常で カカシの知らない間に事実とはかけ離れた、『女一月100人喰い』やら『木の葉でカカシに喰われていないのはもはや子どもと年寄りだけだ』やら 『初めてははたけ上忍に頼めば間違いない』など、身に覚えのない噂まであちこちで飛びかっていた。 別に否定するのもめんどーだしね。と言って特にその武勇伝を否定してこなかったため、木の葉の里じゅうに噂は広まったというわけだ。 そんなカカシだったが、が家に転がり込んでからというもの、ぱったりと女のところに出入りするのをやめていた。 まぁ、といたらそんな気なんないんだよねー不思議だけど。 でも・・・オレも男だしなー。これはちょっとヤバいでしょ。 自分から進んでこの状態になった訳だが、密着しすぎるお互いの身体にカカシは別の意味で意識せざるおえなかった。 そのまま怪しげなところに連れ込みたくなる衝動を、無理やり押さえ込んで カカシは予定していた場所へと向かった。 さほど時間もかからず、目的の場所に着いた。 「?着いたよー。」 すとんとが体制を整えやすいように、ゆっくりと足から抱えていたをおろしてやった。 「ありがとうございます。」 「いーえ。お礼をいうのはまだはやーいよ。」 「???」 「後ろ、見てごらん。」 そう言われたはゆっくりとうしろを振り返った。 「わぁ〜すごい、すごいです!カカシさん!!」 連れてきてもらったのは、木の葉の里が一望できるちょっとした高台だった。 「、こっちにきてからしばらく経つけど木の葉のこと全然知らないでしょ?だからちょうどいいと思って。」 「はい!ホントなにからなにまでありがとうございますvすごーい!木の葉の里ってこんなところだったんですねー。」 「ま、オレにとっちゃいつもと変わらない風景だけどねー。」 それからのは、あそこにこんな店があるとか、あれは何だというふうにカカシに聞いていた。 「カカシさんのお家はどの辺ですか?」 「んーと、あの辺かな。」 「!!ちょっとの間にこんな遠くまで来れちゃうんですねー。やっぱ忍者って便利ですよ。」 「くくくっ、忍者が便利なんていうのぐらいよ?」 そうですか?と言ってまた、は飽きることなく木の葉の里を眺めていた。 じゃあ、便利ついでにもうひとつ。 景色を見るのに夢中なの後ろでさっと印を結んで、カカシは影分身を1人出した。 そして、その影分身はしゅっという音とともにその場から姿を消した。 あっと言う間にその影分身が戻り、カカシが1人になったかと思うと 「サーン」 「はい?」 これ、どーぞ。そういってカカシは振り返ったに小さな包みを渡した。 「???」 「お団子。甘いモンはキライ?」 「え!!すっごく好きです!っていうか、いつの間に・・・?」 「が木の葉に見入ってる間に。ホラ、忍者って便利だから〜」 クスクスと、笑いながらあそこで買ってきたんだ。とそのお店を指差しながらカカシはいった。 「あ!あれって、火影様が言ってたお団子がおいしいっていうお店ですよ!! ・・・いいんですか??」 「もちろん。に、と思って買ってきたしね。オレは甘いモン苦手だから。」 「そうなんですか?おいしいのにー人生半分損してますよ。」 「別に損したっていいもんー。」 ふふふ、アタシのためにわざわざ買ってきてくれたなんて嬉しいな。 自分は苦手なのに。 は目に入った、柵の少し後ろ側にあるベンチに腰をおろした。 「カカシさん。」 ぽんぽんと、はベンチの空いたスペースを叩いてカカシに座るように促した。 カカシはゆっくりと近づきの隣に腰掛けた。 「じゃあ、いただきまーすv」 「どーぞ」 きちんと手を合わせた後、包みをひらくとそこにはなんともおいしそうなあんこのお団子が3本あった。 「おいしそーvvv私甘いものには目が無いんです〜」 えへへ、と笑うはたったそれだけのことなのにとっても幸せそうだった。 ぱく、っと一口食べたは 「ん、おいしいーvvこれあんまり甘すぎなくてすごくおいしいですね!!」 「そりゃ、よかった。」 ここの団子は木の葉でも有名で、あの団子好きのアンコのお墨付きのものだった。 「幸せ〜ありがとうございます、カカシさん。」 「いーえー。サンにはいつも家の事でお世話になってますからねぇ。これくらいはしないと。」 「なっ!お世話になってるのは私の方です。私・・・家事くらいしか出来ないですから。 でも!そのうちもっと馴染めたら私、働きますから。そしたら、カカシさんにも火影様にももうご迷惑はかけません!」 「別にいーのに。」 「よくないです。」 はいつまでも、居候では本気でカカシに悪いと思ったのだ。 やーっぱ、わかってないよなー。 「言ったでしょ?はオレのそばにいればいいって。」 その意味が伝わればいいと思って、カカシは思い切ってそう言ってみた。 「もう!!私をからかわないで下さい。」 今朝からからかわれっぱなしなは、今回もきっとそうだ!とすっかり勘違いしてしまっていた。 「ちょ、?そういう意味じゃなくて・・・」 「いいですよ、別に怒ってませんから。それより、カカシさんも一口どうですか?あんまり甘くなくておいしいですよ?これ。」 ・・・この子、そーとー鈍いよね。 オレがそばに居て欲しいって言う意味ぜーんぜんわかってないじゃない。 はぁ〜と、カカシは心の中でため息をついた。 中々てごわそうだね。 ま、こっちも容赦しなーいよv 「んーじゃあ、一口。」 団子をもっていたの手を掴み、さっと片手で口布をあごまで下げて、団子をひとつ頬張った。 あ/// としては、串ごとカカシに手渡して食べてもらうつもりだった。 それが、少しあてが外れて直接カカシがぱくついたものだから、あーんをした状態だった。 やっぱカカシさんの素顔って、かっこいいかもー/// 慣れない素顔にどぎまぎしてるであった。 「確かに、これなら食えるわ。オレ。」 「・・・あ、ホントですか?よかったデス。」 なんだか、顔がほんのり赤いにカカシはピンときた。 はは〜ん、もしかして照れてるなv そんな顔したら、オレを喜ばせるだけなのにー。 「サ〜ン?顔赤くなーい?」 そういうカカシの表情はニヤニヤしている。 「そ、そんなことありません!」 ぷいっ!っとは顔を背けてしまった。 あらら、からかいすぎたかな? ってば、耳まで赤くなっちゃってかーわいいv 「ははは、ごめーんね。」 まだ少し赤い顔をしながらこちらを恐る恐る振り返ったは、 眉毛をハの字にして少し困った表情をしていた。 「カカシさん、そんなに私のことからかって楽しいですか?」 うん、かーなりね。とうっかり答えそうだったカカシだったが、そこは少し誤魔化しておいた。 「まぁー・・・ね。だってイチイチ反応してくれるから。」 「こういうのに、慣れてないんですー。というか、私男の人にあんまり免疫ないですから。」 「そーなの?」 「はい、私向こうではぜんっぜんモテなかったですし。」 へー向こうの男ってそーとー見る目ないよね。 「彼氏とか、いなかったの?」 「いないですよー。学校も女の子しかいませんでしたから。」 実を言うとはむしろ学外や会社でもモテる方だったのだが、 いかんせん本人がこんな性格なため男たちの必死のアピールにもまったく気づかずに過ごしてきたというわけである。 「というか、彼氏はいたことないですねぇ。」 「そうなの?」 男に慣れてないかんじはしたけどまさかそこまでとは。 そりゃーイチイチいい反応してくれるわけだ。 「今までに1人も?」 「ないですねー。」 「告白とかも・・・されたことないの?」 「あーそれはありますけど、別に好きでもない人に付き合って欲しいとか言われても・・・それに、あんまりそういうのに興味もなかったんですよねー」 ・・・これは、中々に厄介かもしれないぞ。 と密かに覚悟を決めたカカシであった。 まぁーでも焦ってもしょーがないしね。のペースに合わせますか。 って言っても、オレがどこまでもつかだけどねー。 こうして、色々と2人話をしているうちにだんだんと日が沈み始めた。 すくっ、と突然カカシは立ち上がり少し歩いた所で立ち止まりを振り返った。 「ね、。ちょっとこっちおいで。」 「???」 なんだろ?カカシさんフェンスの所でおいでおいでってしてるけど・・・? 不思議に思ったが、はカカシのいる所へと歩みよった。 「あ・・・」 カカシが指をさした先には、夕焼けで赤くそまった木の葉の里の姿があった。 「ここ、けっこー穴場なんだよねー」 ここには任務の帰りによく1人で訪れていた。 すいこまれたかのように、はじっと黙って、目の前に広がる景色を見ている。 赤く染まる横顔はスゴくキレイで、 カカシは夕陽よりも隣にいるを、その風景を壊さないようにじっと目に焼き付けていた。 しばらくそうしていた2人だったが、先にそれを壊したのはカカシの方だった。 ふわっと両脇から腕が伸びてきたかと思えば、すぐには後ろからカカシの腕の中に収められてしまった。 「///カカシさん?!あの、ど、どうしたんですか?」 「んーこうしてないと落っこちそうだったから。」 「・・・そこまでとろくさくないですよ、私。」 もう!と思ったが、カカシの腕の中にすっぽりと収まった身体が何となくしっくりきて は照れながらも大人しくして再び夕暮れ時の木の葉を眺めていた。 ホントにカカシさんてなに考えてるかわかんない人だよなー。 恥ずかしいけど、でもすごく居心地いいな。 あーやっぱりこの子に触れてると、落ち着く。 が落ちそうだと言うのは本当はただの口実で、 カカシはどうしても先ほどを抱き上げた時の感覚が忘れられず、気づいたら身体が勝手にを後ろから抱きしめていた。 こんなに触れたいって思ったの、初めてかも。 今まで適当に性欲処理のために、その辺の女と肌を重ねた事なら幾度となくあった。 そんな風に適当に選んだ相手は大抵一晩いれば興味はなくなっていた。 酷いときはほとんど触れずに行為に及んだこともあった。 そんな自分が、こんなに愛しい気持ちになったのも、ただ触れたいと思ったのもが初めてかもしれない。 「カカシさん。」 は前を向いたままカカシに話しかけた。 「なーに?」 「今日ホントにありがとうございました。私キレイな物を見てこんなに感動したのって初めてです。」 あぁ・・・オレ。 きゅ、とカカシはを抱きしめる腕を強めた。 こんな事でいーなら、くだらないこと考えてないで前からもっと色々連れてってあげればよかった。 物を買ってくれとねだる他の女と違って、たったこれだけの事でこんなに喜んでくれるなら。 「また色々連れてってあげるよ。木の葉にはキレイなところがいっぱいあるからねー。」 「いいんですか?!」 思わぬカカシの申し出に、は無理やり顔をカカシの方に向けた。 「こんな事でいいならいくらでも。」 その時の唯一出ている彼の右目は、それはそれは嬉しそうに弓なりになっていた。 「わーい♪♪ありがとうございますv」 「ねぇ、?」 先ほどの嬉しそうなカカシの顔とは打って変わって、今の表情は少し淋しそうな顔をしていた。 だか、そんな彼の顔は再び前を向いてしまったからは見えない。 「はい。」 「・・・オレの事、恨んでる?」 「??どうして、私がカカシさんの事恨むんですか?」 「だってこっちの世界にくるきっかけはオレにあるし。・・・それに帰りたいでしょ?」 「・・・そうですね、帰りたい気持ちはあります。」 「・・・」 聞いたのは自分だったがのその発言に、カカシは少なからずショックを受けている自分に気がついた。 「でも、別にカカシさんのことは恨んでないですよ。カカシさんはこっちの世界にくるきっかけにすぎないんですし。」 「そうなの?」 「はい!お世話になってるのに恨むなんてとんでもないです。」 ・・・よかった。 「それに・・・」 「うん?」 「帰りたいですけど、今はまだ帰れません。」 「どうして?」 「私、どうしてこの世界に来たんだろうってずっと考えてたんです。」 「うん、言ってたね。答えは見つかったの?」 「いいえ。今でもそれはわかりません。けど・・・」 「けど?」 「せっかくなんで、来てよかったって思って帰りたいんです。 ここには私の知らない事がたくさんあって、知らない人がたくさんいます。 色んな人に出会って、話をして、こうしてカカシさんみたいに仲良くできたらって思います。」 ・・・驚いた。 この前まで不安で泣いてた子なのに。 どうしたらそこまで前向きに考えられるんだろう。 そんなが少し羨ましくもあるカカシであった。 「そっか。じゃあーが木の葉に来てよかったって思えるようにオレも色々協力するよ。」 ま、違う意味で野郎がに近づくのは許さないけどねーvv 「えへへvありがとうございます。」 カカシがそんなことを思っているとは、かけらも気づいていないであった。 そのあと2人は夕飯の買い物をしてから帰った。 は歩くたびに、そこら中から視線を感じる気がしたが、 は皆私が異世界の人間だということは知らないはずなのにな?というくらいにしか、思っていなかった。 その視線が、今の2人にとって厄介以外の何物でもない事も。 そしてそれがこれから訪れることも、今は考えもしない2人であった。 カカシ先生ってばちゃっかり、さんに抱きついちゃってマスv いやー最近どうにも、くっつく前の甘いかんじを脳内が求めてしまっています。 少女マンガを読んでいても、お互いスキなんだろーくっついちゃえよーという おばさん目線以外の何者でもない感じが、ワタクシに漂いまくりなんです。 えぇ、そうですとも。 ワタクシにはかけらもない、あの甘酸っぱいかんじが大好物なんだー!!! そして、お決まりな感じでお2人には困難が待ち受けているのです。 王道すぎてツマンネ。って言わないでくだされー(汗 でも、もうしばらくはこのままが続きます。 大人な恋なんてワタクシには、逆さになってもかけないのですよ(って逆さにもなれやしません あぁ、でもくっついた後のいちゃいちゃも書きたい! ・・・結局カカシ先生とのいちゃいちゃが書きたいだけです。 次回お楽しみにvv |